幹細胞コスメには以下の4つがあります。
- ヒト由来
- 動物由来
- 植物由来
- シグナペプチド(R)
この中で効果が高いヒト由来の幹細胞コスメについて考えてみます。
ヒト由来の幹細胞がどうして効果があるのか、また使用するときの注意点はないのかを言いますね。
ヒト由来の幹細胞が効く仕組みは?
ヒト由来の幹細胞には植物由来の幹細胞にはない特徴があります。
それは細胞活性化のメカニズムです。
私たち人間の細胞の表面には「レセプター」という鍵穴のようなものがあり、その鍵穴にマッチするカギである「リガンド」が結び付きます。
なぜヒト由来の幹細胞が効果的なのかというと、ヒト由来の幹細胞に豊富に含まれるサイトカインなどが、リガンドの役割をするからです。
レセプターにリガンドがはめ込まれると、細胞内のDNAから遺伝子が呼び出され、その遺伝子を元に集合したアミノ酸が結合すると、たんぱく質が作り出されます。
たんぱく質の一部とは、お肌の潤いやハリのもととなるコラーゲンやエラスチンのこと。
ヒト由来の幹細胞には自己再生を手助けする仕組みが存在するのです。
ちなみに植物の場合は細胞膜を通して命令物質が出入りしますので、レセプターやリガンドの仕組はありません。
植物由来の幹細胞コスメの特徴は抗酸化作用・保湿効果です。
ヒト由来の幹細胞の種類
幹細胞にはヒト由来・動物由来・植物由来の3種類があると書きました。
その中でもヒト由来はさらに以下の3つに分けることができます。
- 成体幹細胞
- ES細胞
- IPS細胞
それぞれ詳しく説明します。
成体幹細胞
人の体内にある幹細胞のこと。
ある程度の分化能力をもち、体内組織を再生したり新しい細胞を供給します。
幹細胞コスメはこの成体幹細胞の培養液をもとに作られており、種類は3つあります。
- 脂肪由来幹細胞
- 神経由来幹細胞
- 骨髄由来幹細胞
詳しい特徴は次の段落で解説します。
ES細胞(胚性幹細胞)
受精卵の最初の段階である胚盤胞の内側の内部細胞塊を取り出して作られたもの。
多能性幹細胞と呼ばれ、ほぼすべての組織に分化することができると言われています。
ISP細胞
成体幹細胞に因子を導入・培養して作ったもので、ES細胞のようにさまざまな種類の細胞に分化することのできる人工多能性幹細胞です。
京都大学の山中伸弥教授が2012年にノーベル賞を受賞しました。
今まで治すことのできなかった難病治療に使われています。
ヒト由来の幹細胞の種類
先ほども書いたように、幹細胞コスメに使われるヒト由来の成体幹細胞は3種類あります。
- 脂肪由来幹細胞
- 神経由来幹細胞
- 骨髄由来幹細胞
それぞれの特徴をみていきます。
特 徴 | |
脂肪由来幹細胞 | 健康な韓国人女性の皮下脂肪(へそ周り)から採取した幹細胞。 グロースファクターや酵素、アミノ酸、抗酸化成分が豊富に含まれているので、シワなどのエイジングケアに効果的。 採取しやすく、培養しやすく、幹細胞の数自体も多いので、比較的安価で手に入れやすい。 |
神経由来幹細胞 | 健康な日本人女性の歯茎から採取した幹細胞。 神経幹細胞にはチロシナーゼという酵素を抑制する働きがあり、シミ・ソバカスの原因となるメラニンを抑制する。 つまり美白効果が期待できる。ヒト由来の幹細胞コスメの中では高価。 |
骨髄由来幹細胞 | FDA(アメリカ食品医薬品局)の規制に合格した平均年齢20歳前後のドナーから採取された幹細胞。 骨髄幹細胞は、身体の炎症部分まで血流に乗って移動し、傷ついた細胞の修復・再生を行うことができる。 この働きから、紫外線や大気汚染ダメージにさらされた肌の修復にも役立つと考えられ活用されている。 |
一般的に幹細胞コスメと言えば脂肪由来幹細胞を培養したコスメが多いです。
ヒト由来の幹細胞の働きとは
ヒト由来の幹細胞は身体でどのように働くのでしょうか?
幹細胞の働きにはホーミング効果があります。
ホーミングとは、例えばハトが巣から遠く離れた場所で放たれても巣に帰ることのできる帰巣本能のように、帰巣性という意味をもつもの。
ヒト由来の幹細胞は傷ついた細胞からの信号をキャッチすると、そこへ移動し約3ヶ月かけて修復・再生を行うのです。
骨髄損傷の患者に脂肪由来幹細胞を投与した研究では、投与した脂肪由来幹細胞のうち13%がホーミング効果で損傷部分に集まったと発表されました。
ヒト由来の幹細胞は規制が厳しい
ヒト由来の幹細胞を採取する場合には、研究目的・治療目的に関わらず国内法やガイドライン等に沿って了承されていなければなりません。
海外からヒト由来の幹細胞を入手する場合では、提供施設の倫理委員会の審査が必要で、それができない場合は、個別に国内の製造会社の倫理委員会において審査・評価も必要です。
幹細胞を提供したドナーが医療の専門家でなくても理解できるように、幹細胞を採取する施術者はドナーに十分な説明を行って事前に同意を得て記録を残す義務があります。
幹細胞の取扱いでは安全レベルを設定して、物理的な封じ込めが可能な施設で行い、安全確保に努めるのも怠ってはいけません。
このようにヒト由来の幹細胞を取り扱うには何重にも制約があります。
ヒト由来の幹細胞の倫理的な問題点
1996年に世界で初めてクローン羊が誕生したとき、人が創造主のように生き物を創り出すことには問題があると批判が出ました。
ヒト由来の幹細胞も同じで、人から採取した細胞を増殖させてコスメに配合することに倫理的に嫌悪感を抱く人がいます。
人の手で細胞を繁殖させ、それを人の美の追求という利益のために使用するのは、ある意味クローン羊と同じ考え方です。
ヒト由来の幹細胞コスメは健康なドナーから採取されているので安全性は高いとはいえ、精神的に受け付けない人は他の種類の幹細胞コスメを使用した方がいいでしょう。
(シグナペプチドを配合した幹細胞コスメ)


(リンゴ幹細胞エキスを配合した幹細胞コスメ)


まとめ
ヒト由来の幹細胞コスメは効果が高い半面、信条によっては受け付けない人もいます。
確かに「人の細胞を顔につけるのはちょっと…」と思うのも無理はありません。
しかしヒトから作られたコスメであるからこそ、人にもっとも効果を発揮します。
どうしてもというこだわりのある人以外は、ヒト由来の幹細胞コスメをおすすめします。

